忙しい毎日の中では、食事作りにかける時間はできるだけ少なくしたいものです。しかし、美味しくて栄養のある食事はあきらめたくない、そんな声が多く聞かれます。

今回は、自炊の時間短縮テクニック「アレンジ編」として、ラクタさんにお寄せいただいたお悩みにお答えしながら、時短調理に向くおすすめの調理法や、市販品の活用方法、時間短縮のためのメニューや盛り付けの工夫についてお伝えしていきます。

タイムパフォーマンスを上げたいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

一人暮らしの自炊事情 約8割が時短を望む 調理と後片付けが課題
著者
庭乃 桃( 料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士)

東京大学大学院修了。料理家として「おいしい」をとりまくさまざまな食文化や食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発、食関連の執筆、講演など多方面で活動中。

【レシピ開発(敬称略・順不同)】
欧州連合(EU)、日本私立学校振興・共済事業団、株式会社カーブスジャパン、岩谷産業株式会社、カリフォルニアくるみ協会、全国かまぼこ連合会(現・一般社団法人 日本かまぼこ協会) ほか。

【コラム執筆(敬称略・順不同)】
カリフォルニアくるみ協会、ホットペッパーグルメ 食を楽しみたい人のグルメ情報マガジン『メシ通』、レシピサイトNadia、食ZENラボほか。

【著書】
『おいしく世界史』(柏書房)

【テレビ出演】
NHK「ひるまえほっと」

公式サイト
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時短につながるおすすめの調理法

限られた時間で効率良く調理をおこなうためには、品数を限定し、献立に工夫をすることも大切です。

まずは肉や魚を焼いて味付けするだけ、切ったり茹でたりした野菜を添えるだけ、といったシンプルな調理から始めてみましょう。その際、自炊の時間短縮テクニック「下ごしらえ編」でご紹介したような、あらかじめ下ごしらえをしておいた食材があればより短い時間で比較的楽に調理をおこなうことができます。

調理器具の活用

炊飯器や電子レンジ、オーブンなどの調理器具を使えば、肉や魚、そして野菜をすべてまとめて調理することも可能です。材料をセットしさえすればその間に別の作業ができるというメリットもあるので、ぜひ積極的に活用していきましょう。

電子レンジやトースターは、野菜の下ごしらえなどはもちろん、副菜をさっと調理したり、あと一品を作る時にも重宝します。

簡単な調理でも、具材や味付けを変えるだけでさまざまなおかずのアレンジができるため、献立のマンネリ防止にも役立ちます。

市販品使いこなし術

下処理のいらないカット野菜や、常備しやすい冷凍野菜、缶詰、乾物などは、時短調理の心強い味方です。食材が新鮮なうちに加工されているため、栄養価も高いものが多く、上手に使っていけば食事の味わいや栄養バランスにもしっかりと配慮することができます。

カット野菜、冷凍野菜

野菜を洗ったり切ったりする必要のないカット野菜や、日持ちが長く、常備のしやすい冷凍カット野菜は、野菜不足が気になる時でもさっと使えるとても便利な食材です。いずれも包丁を使わず、少量からでも取り出すことができ、サラダや炒め物、煮物、汁物などにそのまま入れるだけで使うことができます。

カット野菜は、比較的傷みが早いため、新鮮なうちに使い切るようにします。

長期保存が可能な冷凍野菜は、凍り付いて固まってしまった部分などがあれば水をひと振りして軽く電子レンジにかけてほぐすとふっくら仕上がり、調理の際の加熱ムラなどを防ぐことができます。

サラダチキン、魚肉ソーセージ

加熱済みで味もついている、市販のサラダチキンや魚肉ソーセージ。手軽にたんぱく質が摂れるので、副菜からメインの料理までさまざまに使うことができます。

たとえば、具だくさんのサラダやあえもの、炒めものはもちろん、野菜や卵と煮て親子丼風、キムチやナムルと合わせてビビンバ風など、丼仕立てにしても一食が簡単に作れておすすめです。

いずれも面倒な生ものの下処理が必要ないため、肉や魚のかわりとして上手く使うとかなりの時短になります。

缶詰、乾物

野菜や果物、動物性・植物性たんぱく質など、さまざまな食材がそろっている缶詰や乾物。賞味期限が長いため、常備しておくと、災害時のローリングストックとして使えるだけでなく買い物に行けない時などにも助かります。

なかでもおすすめなのが、魚の缶詰です。ツナ缶やサバ缶など、魚の美味しさと栄養が丸ごと詰まっており、すでに味付け・加熱済みなので、メイン具材としてもそのまま使うことができます。栄養価が高く、旨味が強いため、パスタソースや炊き込みご飯など、お子さんの好きな料理に入れるのもおすすめです。

干し椎茸や切り干し大根などの乾物は、具としてだけでなく戻し汁まで出汁として使うことができます。乾燥わかめやお麩なども、火が通りやすいので常備しておくと汁物を手早く作りたい時などに具として重宝します。

乾物類は、いずれも独特の食感や噛みしめるほどに味わい深い旨味があるので、上手に使うと満足感のある一品を簡単に作ることができます。

メニューと盛り付けの工夫

前回の「下ごしらえ編」でもご紹介した通り、食事作りを短時間で済ませるためには、メニューや盛り付けをいま一度見直してみるのもおすすめです。

ワンプレートや丼メニューもとり入れる

栄養バランスの良い食事の基本は、主食、主菜(メイン料理)、副菜の組み合わせですが、全体として上記のような黄色、赤、緑の3つの食品群が含まれるようにすれば、必ずしも形にこだわる必要はありません。

参考:新生活で自炊を始めた人へ「バランスの良い食生活」入門編

時には、ご飯やパンに具だくさんな汁ものを添えたり、肉と野菜をたっぷり入れた麺類、具材たっぷりのごちそう丼など、ワンプレートやどんぶりで出せるメニューのほうが準備が楽な場合もあります。短い時間で調理ができて、比較的気軽に作ることができるのでぜひとり入れてみましょう。

総菜や宅配弁当を利用するのもおすすめ

すべてを自分で作るのが大変な場合には、部分的にミールキットや総菜をとり入れてみるのも良いでしょう。汁ものだけはまとめて作っておき、メイン料理は総菜を利用する、日によってはミールキットを使うなど、その日の状況や体調に応じてさまざまなやり方を試してみるのも良い方法です。

自炊の調理時間短縮を考えるのなら、まずは完璧を目指さずに、できるだけシンプルな作業で自分や家族が満足できる範囲を見つけることが大切です。

そのためには、時には外食をしたり、宅配弁当を利用するなどして、日頃からメニューや献立の工夫を知っておくと普段の食事作りにも大いに役立ちます。

特に宅配弁当は、使われている食材や調味料、カロリーや塩分などが明記されているすぐれもの。

栄養バランスにも配慮されたものが多いため、料理のレパートリーや献立づくり、盛り付けのバランスなどの参考になります。

気分転換をかねて上手に利用して、ぜひ毎日の食事作りにもいかしていきましょう。

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