最近、健康や節約を考えて自炊を心がけているという人が増えています。

しかし自炊も毎日のこととなると、続けてゆくにはやはり工夫が必要です。そこで今回は、限られた時間のなかでの食事作りに役立つ時短テクニックをいくつかご紹介します。

まずはこれだけで調理がぐっと楽になる、食材の下ごしらえ編です。

タイムパフォーマンスを上げたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。

著者
庭乃 桃( 料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士)

東京大学大学院修了。料理家として「おいしい」をとりまくさまざまな食文化や食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発、食関連の執筆、講演など多方面で活動中。

【レシピ開発(敬称略・順不同)】
欧州連合(EU)、日本私立学校振興・共済事業団、株式会社カーブスジャパン、岩谷産業株式会社、カリフォルニアくるみ協会、全国かまぼこ連合会(現・一般社団法人 日本かまぼこ協会) ほか。

【コラム執筆(敬称略・順不同)】
カリフォルニアくるみ協会、ホットペッパーグルメ 食を楽しみたい人のグルメ情報マガジン『メシ通』、レシピサイトNadia、食ZENラボほか。

【著書】
『おいしく世界史』(柏書房)

【テレビ出演】
NHK「ひるまえほっと」

公式サイト
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時短調理のポイント

美味しくて栄養のある食事を作るには、いくつかコツがあります。

調理は段取りなので、とにかく頑張ればいいというものではなく、最小限の動きで無駄なく食材を使いこなすことが楽をするための近道です。

同じ作業はまとめておこなう

たとえば、何か食材を切るたびにまな板と包丁を出しては洗い、また使う、というのでは調理にかなりの時間がかかります。

そこで、作る料理をある程度決めたら、野菜は野菜、肉は肉、魚は魚と分けて、それぞれ使いやすい形に切っておきましょう。この時、調理器具が汚れにくい野菜などから切っていき、続けて肉や魚など生ものの下処理をおこなうようにすると作業が楽になります。

そのほか、野菜を洗う、調味料を合わせるなどの作業も、できればまとめてやってしまうのがおすすめです。同じ作業をまとめておこなうことで、少ない労力で食事作りができ、キッチンでの作業スペースも確保しやすくなって効率よく調理ができるようになります。

食材は使いやすい形にしておく

食事作りは、食材をいちから洗って切るところから始めると完成までにそれなりの時間がかかります。

そこで、できれば野菜はあらかじめ洗って切っておき、魚や肉も下処理をして味をつけてから保存しておくと当日の調理がとても楽になります。

特に野菜は、買ってきてから一度水につけたほうが新鮮さを取り戻すことができ、日持ちもグンと良くなります。

肉や魚も、新鮮なうちに調味料に漬け込んでおくことで日持ちが良くなり、味も良くなります。そのまま冷凍して、当日焼くだけ、レンジにかけるだけといった調理も可能になるので、調理時間の短縮を考えているのならとり入れてみるのもおすすめです。

品数を限定する

出典:消費者庁「栄養成分表示を活用しよう③食事の質を見直す」

毎日の自炊は、張り切ってあれもこれもと食材を購入したり、たくさんの料理を一度に作ろうとすると、徐々に疲れてきて続けていくことが難しくなりがちです。

小鉢などを細々そろえるよりは、まずシンプルに、ご飯(主食)にメインとなるおかず(主菜)、さらに野菜のとれる味噌汁や添えもの(副菜)を作ることを考えましょう。

メインは主にたんぱく質(肉や魚、大豆製品など)を摂れるものにし、味噌汁や副菜には野菜を盛り込みます。ご飯のかわりにパンや麺類でもかまいません。

たんぱく質や野菜を入れた具だくさんな汁ものならそれひとつで主菜と副菜のかわりとなり、栄養バランスも良くなります。

参考:新生活で自炊を始めた人へ「バランスの良い食生活」入門編

食材別 おすすめ下ごしらえ方法

それでは具体的に、どんな下ごしらえをするのがおすすめかみていきましょう。

野菜は洗ってすぐ使える状態に

野菜類は、あらかじめ洗ってすぐ使える状態にしておくと、調理時間をかなり短くすることができます。

キャベツの千切りや葉野菜などは、食品保存用のタッパーに入れて、濡らしてかたくしぼったキッチンペーパーを一枚上にのせておくと、乾燥しがちな冷蔵庫内でもみずみずしさが保てます。

ブロッコリーなど生では食べない野菜も、あらかじめ電子レンジや熱湯で加熱しておき、水分を切って保存します。いずれも、メイン料理に添えたり、汁ものに入れたり、味をつけて副菜にしたりと、手早く使えて便利です。

たいていの野菜は冷凍することができるので、すぐに食べない場合は冷凍保存もおすすめです。

きのこは、むしろ冷凍したほうが旨味や栄養価が増すため、石突きを取ってほぐして冷凍しておくと調理時にさっと使うことができます。ねぎや大葉、みょうがなどの香味野菜も、切ってから冷凍しておくと薬味として重宝します。

肉や魚は味をつけて保存

鮮度が味に出やすい肉や魚は、ドリップがあればキッチンペーパーできれいに拭き取り、できれば味付けしてから保存しておくと調理時間を大幅に短縮することができます。

やり方は簡単で、食べやすい大きさに切った肉や魚の切り身に好みの味付けの調味料をもみ込み、清潔な食品保存用袋に入れて冷蔵庫または冷凍庫で保存します。

あとはそれを、食べたい時に焼いたり、電子レンジで調理したりするだけです。そこに先ほどのカット野菜や加熱済み野菜を添えれば、さらに見栄えも栄養バランスも良くなります。

漬け込み用の調味料としては、味噌や塩麹などが特におすすめです。たんぱく質を分解する酵素が含まれているため、肉や魚の臭みも取れるだけでなく、肉質がふっくらやわらかく仕上がります。

インターネットで「下味冷凍」と検索するとさまざまなレシピが出てきますので、ぜひ試してみてください。

市販品、ミールキット、宅食、さまざまなサービスを活用しよう

家事や仕事に追われる忙しい毎日の中では、それでも調理に時間をかけられないこともあります。そんな時は無理に頑張りすぎず、便利な市販品やサービスに頼るのもひとつの手です。

野菜を切る時間がなければ、カット野菜や冷凍野菜、乾物などを活用し、肉や魚を調理する元気がなければ、缶詰や加工品、サラダチキンなどでたんぱく質を補います。手軽に使える豆腐や油揚げ、納豆などの大豆製品をとり入れるのも良い方法です。

今は各社からさまざまなミールキットも販売されているので、それを利用するのもおすすめです。今回ご紹介したように、食材のカットや調味料の工夫は大きな時短につながります。

ミールキットには、カット済み、下処理済みの具材がセットになっているので、満足感のある料理が簡単に作れ、使い方次第では料理のレパートリーも増やすことができます。

あとは思い切って一食食事作りをお休みし、便利な宅食弁当を利用するのもよいでしょう。宅食弁当は管理栄養士などの指導のもと、栄養バランスに配慮されたものも多いため、それを参考に自身の食生活を見直す良いきっかけにできるかもしれません。


次回【アレンジ編】では、時短調理のためのおすすめの調理法や、市販品の活用術についてご紹介します。

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