冷凍食品や調味料の分野で日本の食品業界を牽引している味の素株式会社。
うま味調味料「味の素」をはじめ、Cook Do®(クックドゥ)や冷凍食品など、馴染みのある方は多いのではないでしょうか。
そんな同社が、2024年1月より新たに冷凍宅配弁当サービス「あえて、」をスタート。味の素社が配食サービスを通じて目指す将来の目標について、味の素株式会社 羽藤 耕一郎さんにお話しを伺いました。
食事を通じて幸せに貢献したい 味の素社の宅配冷凍弁当「あえて、」が目指すもの
最終更新日:2024年03月18日
味の素株式会社 コーポレート本部 R&B企画部アクセラレーショングル-プ マネージャー
羽藤 耕一郎さん
「あえて、」公式サイト
「冷凍弁当」は、食事の悩みを一気に解決できる
これまで様々な食品を手掛けてきた味の素社が、新たに冷凍宅配弁当サービスを始めたきっかけを教えてください。
我々、味の素グループ全体で2030年に目指している未来像の1つが「フードウェルネス」、食事と健康的な食生活を実現するため世の中に貢献したいという想いがあります。
お客様の健康にダイレクトに携わりたい、その根幹となるのが食事です。しかし、長く続けてきた習慣、食生活はなかなか簡単には変えられません。
こうした背景を踏まえ、企業としてお客様の健康増進をサポートするためにできることを考えたときに「お弁当のような、お客様にとって手に取りやすいサービスがあれば良いじゃないか」と考えたのがサービス開発のきっかけになります。
もともと冷凍食品を作ってきましたが、1つ1つが単品のメニューですから、食事の中の1品にしかなれません。お客様の健康増進に携わるならば、食事に対し、主体的・包括的に携わる必要がありました。
その点、「お弁当」という商品ならダイレクトに携わることができますし、お客様が抱えている悩み、献立・買い物・調理・片付けの4つを一機に解決できるのではないかと考えました。
そこで重要になってくるのが、「自宅に商品をストックしてもらうこと」でして、スーパーでまとめて大量に購入するのは難しいため、自宅に直接お届けする形態を選びました。
「週に1度の息抜き」くらいの感覚で、手にとっていただければと思います。その中で「味の素社が作るお弁当、おいしい」と感じて下さり、最終的にお客様の食生活を支えるサービスになるのが目標です。
昨今、多くのメーカーさんが宅配食サービスを展開していますが、競合他社と「あえて、」との違いは何ですか?
まずは我々が「おいしさ」を徹底的に追求していることですね。弊社はこれまで冷凍食品をたくさん開発してきていますから、栄養やおいしさに関する知見は他社よりも自信があります。
健康な生活にはヘルシーな食生活が大切です。そのため食事サービスでは、「健康」を全面に打ち出すのがスタンダードな売り方だと思います。
ですが、まず「おいしそう」と思わなければ誰も手にとってくれません。その点を考慮して、まず「見た目と味」に徹底的にこだわっています。
ヘルシーな食事の必要性は、我々が言わなくともお客様は分かっていらっしゃいます。なので「あえて、」では、ヘルシーさや健康を全面に出していません。
「冷凍食品=身体に良くない、おいしくない」というイメージをもっている方もいらっしゃると思いますが、冷凍するのは味にこだわっているからなんです。急速冷凍なら調理したときの味や栄養を落とさずに、おいしさを閉じ込めることができます。
「あえて、」は全メニューごはん付き 味の素グループにしかできない冷凍技術が光る
「あえて、」が特に力を注いでいる部分はどこですか?
他サービスではおかずのみの宅配弁当も多いですが、「あえて、」ではごはんとおかずをセットで提供しています。
白米を自分で用意するのはそんなに手間じゃないと感じていても、実際にはやはりいくらかの手間が発生します。
元々食事を作る手間を省きたくて宅配弁当を利用しているのだから、ごはんもセットの方が楽ができるはず。また、こうしたサービスを利用している方は、おいしさや健康に対する感度が比較的高い方が多いので、栄養的にもごはんとセットの方が良いだろうと考えました。
全てのメニューがご飯付きは、珍しいと思いました。ごはんの冷凍にも何か秘訣があるんでしょうか?
冷凍の状態で、ふっくらしたごはんを提供するのは技術的に非常に難しいため、他でほとんどやっていないことだと思います。そこは冷凍食品を手掛けてきた味の素社として、なんとか解決したいと思いました。
いざ作ってみると難しかったんですが、試行錯誤を重ねた末、おかずを乗せることでご飯もおいしく食べられることにたどり着いたんです。詳細は明かせませんが、電子レンジで解凍していただくと炊飯器で炊いたときと近い状態のふっくらしたごはんをお召し上がりいただけます。
容器にもこだわっていて、一般的な宅配弁当のボリュームですと200g前後が一般的ですが、「あえて、」では350g〜370gにしています。これは、「お客様にお腹いっぱい食べてほしい」との思いからです。
ごはんは、まぜごはんを入れているのも特徴です。
白米ならばお客様ご自身で用意いただけます。その点まぜごはんは、そもそもお客様が『作ろう』と思わなければ食卓には出てきません。
ただの楽して栄養を摂れるお弁当ではなく、お金を支払っていただくのならば、お客様にとって付加価値の高いサービスでありたい。そんな思いでまぜごはんを入れています。
お客様の声と培ってきたおいしさのノウハウで「あえて、」は進化を続けていく
最後に「あえて、」の今後の展望をお聞かせいただけますか?
まず、大前提として『お客様の声を聞きながら、どれだけ進化できるか』がカギになると考えています。言い換えれば、頼られるサービスになるためには、お客様の声に基づいた改良が不可欠ということです。
その上で、弊社としてはお弁当のラインナップを増やしたいと考えています。今は20種類のお弁当を提供していますが、もっと品数を増やしたいです。
これまで、企業として培ってきたおいしさに関する知見とノウハウを最大限に詰め込みながら、お客様の声をもとに改良していく。それを繰り返して、我々の価値を認めてもらえば嬉しいです。
別の見方をすれば、毎日ごはんを作っているお母さんお父さんはすごいなと思います。我々はそういう部分も含めて、サービスを広めていきたいと考えています。
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