2025年3月26日より商品の値上げが決まったミスタードーナツ(以下、ミスド)。
実はミスド開店当初のドーナツの価格は40円だったことを知っていましたか? 今回は意外と知られていない、ミスタードーナツの歴史や裏事情を徹底調査。
今のミスド価格はぶっちゃけ高いのか? 本当のことをお伝えしちゃいます。
販売当初は40円?ミスド値上げの歴史と海外店舗を徹底調査
最終更新日:2025年01月29日
2025年、ミスドがまたしても値上がり! 2022年からほぼ毎年値上げ
ミスタードーナツは、2025年3月26日より一部商品の値上げを決定しました。
ドーナツ、パイ、マフィン、ザクもっちドッグ、アレルギー特定原材料不使用ドーナツなど42種が10円程度の値上げ、「台湾粉粿(フングイ)フルーツティ」2種を20円程度値上げします。
主な価格改定商品一覧
商品名 | 現在の価格 (2024年) | 値上げ後価格 (2025年) |
---|---|---|
ポン・デ・リング | ¥150 | ¥160 |
ポン・デ・黒糖 | ¥150 | ¥160 |
ポン・デ・ストロベリー | ¥160 | ¥170 |
オールドファッション | ¥150 | ¥160 |
チョコファッション | ¥160 | ¥170 |
オールドファッション ハニー | ¥150 | ¥160 |
フレンチクルーラー | ¥150 | ¥160 |
エンゼルフレンチ | ¥160 | ¥170 |
ストローベリーカスタードフレンチ | ¥160 | ¥170 |
ハニーディップ | ¥150 | ¥160 |
シュガーレイズド | ¥150 | ¥160 |
チョコリング | ¥160 | ¥170 |
ストローベリーリング | ¥160 | ¥170 |
エンゼルクリーム | ¥160 | ¥170 |
カスタードクリーム | ¥160 | ¥170 |
チョコレート | ¥150 | ¥160 |
ダブルチョコレート | ¥160 | ¥170 |
ゴールデンチョコレート | ¥160 | ¥170 |
ココナツチョコレート | ¥160 | ¥170 |
ハニーチュロ | ¥150 | ¥160 |
もっちりフルーツスティック | ¥150 | ¥160 |
もっちりフルーツスティックシナモン | ¥150 | ¥160 |
ミスタードーナツは、ほぼ毎年のように(※)価格改定をおこなっており、2022年から2025年の現時点までで4回の値上げを実施。
正直「また値上げか」と思わなくもないですが、現在のミスドは本当に高いのでしょうか?
「昔はもっと安かったよなぁ」と感じている人も多いと思うので、実際に調査をしてみることにしました。
※2023年を除く。2022年の前期と後期で2回の値上げを実施。
そもそもミスドの最初の出店はいつ?販売当初は40円!
さて調査を始める前に、ミスドは日本でいつどこでできたかをチェックしておきましょう。
実はミスドの日本第1号店は東京ではなく大阪の箕面市でした。アメリカ生まれのドーナツが食べられる店舗としてデビューを飾ります。
公式サイトには「メニューヒストリー」という過去のラインナップを掲載しているページがあり、その情報によれば定番のハニーディップやエンゼルクリームなどのドーナツが、開業当時(1971年)は1個40円で提供されていたようです。
「40円」と数字だけ見れば安く感じますが、当時はあんぱん1個が30円程度で販売され、サラリーマンの平均月収は66,100円の時代です。
2024年の平均月収は330,200円で、当時の約5倍ほど。これを基に1971年当時のハニーディップの販売価格を現代の価値に換算すると1個200円程度で、現在の菓子パンやスイーツと比較しても妥当な範囲に収まっていると言えそうです。
価格改定後のハニーディップ1個160円は、物価換算から見れば比較的抑えられているように思えます。ただし、生産数や販売店舗数の拡大、流通コストや原材料費の変化などを考えると、単純な物価換算だけで価格の妥当性を判断するのは難しいでしょう。
比較的価格が抑えらているのにも関わらず、「昔より高くなった」と感じるのはなぜでしょう?さらに深ぼっていきます。
過去10年間をさかのぼって、定番メニュの値上がり履歴を調査
「ポン・デ・リング」「ハニーディップ」「フレンチクルーラー」「オールドファッション」「エンゼルクリーム」などの定番メニューの価格推移を、過去10年(2015~2025)まで遡って調査。
すると、「ミスドはもっと安かった」という印象の正体が見えてきました。
商品名 | 2025 | 2024 | 2023 | 2022 | 2021 | 2020 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ポン・デ・リング | 160円 | 150円 | 140円 | 120円→140円 | 110円 | 110円 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 140円 |
ハニーディップ | 160円 | 150円 | 140円 | 120円 →140円 | 110円 | 110円 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 130円 |
フレンチクルーラー | 160円 | 150円 | 140円 | 120円 →140円 | 110円 | 110円 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 130円 |
オールドファッション | 160円 | 150円 | 140円 | 120円 →140円 | 110円 | 110円 | 100円 | 100円 | 100円 | 100円 | 130円 |
エンゼルクリーム | 170円 | 160円 | 150円 | 140円 →150円 | 130円 | 120円 | 120円 | 120円 | 120円 | 110円 | 140円 |
2016年ごろには、一度大幅な値下げをしている
値上げばかりが目立つドーナツ価格ですが、実は2016年ごろに「原点回帰」と称してハニーディップなどの定番メニューに対して30円~40円の大幅値下げを敢行。
2019年くらいまでは100円で食べられるドーナツとして提供を続けていました。また、2010年代は定期的に「100円セール」や「半額セール」が実施されており、ポン・デ・リング1個が60円~70円で買えることも。これらが「昔は安かった」という印象を植え付けているのではないでしょうか。
そして、2020年ごろから再び値上げの波がやってくることになります。この頃には定期セールがほとんどなくなり、前述の通り値上げが毎年のようにおこなわれるため、より割高の印象が強くなったと推測します。
値段が昔に戻っただけ? 実際はサイズが小さくなっている
流石に賞味期限のある食べ物を年をまたいで比較するのは難しいですが、「小さくなった」と感じる声はSNS上でも多く発信されています。
中には毎年同じ皿に盛り付けていて、以前よりも皿に入る個数が多くなったという体験も。
原価高騰の問題もあるので、実際は大きさなどのコストダウンは図られていると推測されます。
アメリカからミスドが消えた…!? 実は日本の会社が運営
開店当時、「アメリカンスタイルのドーナツ」として広告を打ち出したミスドですが、実は1990年ごろから一部フランチャイズを残してアメリカのミスドはなくなってしまっています。
なぜそんなことになったのか。その理由を、以下にまとめていきます。
日本のミスドはダスキンが運営! 掃除のプロがドーナツ販売?
とてもドーナツと関連性があるとは思えないダスキンですが、当初はフランチャイズノウハウの勉強のために店舗展開が始まったと言われています。
もちろん何でもよかったわけではなく、渡米した際のドーナツのおいしさが決め手となったとか。当時、ミスドのライセンス料に資本金の3倍の金額を支払って問題になったという事件もあったそうです。
アメリカのミスドはダンキンドーナツに敗北し、シェアを奪われた
元々「ミスタードーナツ」は「ダンキンドーナツ」というドーナツショップの派生で生まれた店舗でした。
経営方針の違いにより独立した「ミスタードーナツ」でしたが、1990年に「ダンキンドーナツ」の親会社に買収され、アメリカでは「ダンキンドーナツ」に統合。
これによりアメリカの「ミスタードーナツ」は事実上消滅しており、現存するのはフランチャイズ時代の名残で続けていた1店舗のみとなりました。
アメリカ最後のミスドは2025年1月に閉店した
そんなアメリカ最後の希望であった『Mister Donut,Lust in USA』ですが、なんと2025年1月5日をもって閉店。
これにて本場アメリカの味が魅力のドーナツショップは「ダンキンドーナツ」に統一され、「ミスタードーナツ」は米国内から消滅しました。
実際に海外のミスドと価格を比較、実は日本はまだまだ安い?
日本のミスドが安いか高いかを考えるためには、海外の値段を知る必要があると感じました。そこで、現在展開されている主要な海外のミスド店舗のメニューを調査し、価格を比較。
日本のミスドが世界基準でどのくらいの価格なのか、予想してみてくださいね。
海外店舗と日本のミスド価格比較
実は2025年現在、ミスドはアジア圏でしか店舗展開していませんでした。ヨーロッパへの展開がほぼなく、主要な販売国をまとめた表が以下の通りです。
商品名 | 日本の価格 (2025年新価格) | 香港 | 台湾 | インドネシア | シンガポール | タイ |
---|---|---|---|---|---|---|
ポン・デ・リング | 160円 | 約382円 | 約177円 | 約87円 | 約265円 | 約133円 |
チョコファッション | 170円 | 約382円 | 約190円 | 約97円 | 約287円 | - |
エンゼルフレンチ | 170円 | 約402円 | 約177円 | 約97円 | 約287円 | - |
ハニーディップ | 160円 | 約382円 | - | 約87円 | 約265円 | 約133円 |
エンゼルクリーム | 170円 | 約402円 | 約190円 | 約97円 | 約287円 | 約133円 |
フィリピンにもミスドがあるのですが、屋台が中心だったり独自の進化を遂げ過ぎていたりと比較が難しいものがあったため、除外しています。
圧倒的に安いのはインドネシアで、最安価が1つ辺り約87円でした。しかしSNSや動画サイトで現物の動画を見てみると、若干サイズは小さいようです。
また、タイが1つあたりの単価が日本よりも安くなっているのですが、この理由を調査した結果、以外なことがわかりました。
タイのミスドは日本に次ぐ規模のシェアを誇っている
実はタイはミスド大国となっており、ドーナツにおける国内消費量No.1の座を誇っています。
元々の物価が安いことに加えて、薄利多売で運営できるため、他の国と比較しても価格が割安になっているという推測ができます。
タイのミスタードーナツを見ているとポン・デ・リングが大人気なようで、通常のものに加えて5角形のもちもち感強めな限定メニューも販売されていました。
一方で日本では定番のエンゼルフレンチやオールドファッションといったラインナップはショップから消えており、ラインナップの差異を感じました。
海外に展開を始めたのは割と最近だった
ミスドの定番「ポン・デ・リング」や飲茶系のメニューは全て日本で生まれています。アメリカ撤退前のフランチャイズを受け継いで営業しているのは、フィリピンなどの一部地域のみ。
中国でも旧来のミスドは2019年までで閉店。2024年香港で開店した店舗は、ダスキン発の1号店となっています。このように、ダスキンから海外出店する形でミスドは近年になって展開を広げています。
日本から輸出しているため、実は日本より高いことも
ダスキンから海外出店をしている場合、ドーナツ一個の値段は元の原価からライセンス料などを上乗せして金額設定をするのが定石です。
そのため、基本的にドーナツの価格は日本のミスドよりも高価格で設定されているケースも多くなっています。
結論としては、日本のミスドは海外と比較してもそれほど高くない、ということができるでしょう。
アメリカのダンキンドーナツと比較しても日本は安い
では、元々アメリカの競合相手であったダンキンドーナツと比較すると、現在のミスドの値段は高いのでしょうか?
同じメニューで比較するのが難しいため、ダンキンドーナツの定番メニューとの金額の差を比較してみました。
商品名 | 概要 | 価格 |
---|---|---|
Cinnamon Raisin Bagel | シナモンのかかったベーグル系のドーナツ。 | 約389円 |
Pumpkin Muffin | パンプキンを使用したマフィン。 | 約234円 |
Croissant | クロワッサン。 | 約349円 |
Tar Heels Donut | ミスドでよく食べるドーナツに一番近い形状のドーナツ。 | 約233円 |
一番比較対象にしやすいのが、「Tar Heels Dounut」で、チョコリングやストロベリーリングをイメージするとわかりやすいかもしれません。
チョコリングの国内販売価格が160円とすると、単純比較では73円ほど高いということができます。
結論、世界的に見ると日本のミスドはまだ安い
シンガポールのポン・デ・リングが約265円、ほぼ物価が同じくらいか少し安い台湾でも約177円ということを考えると、まだ日本のミスドは「高い」とまでは言えないでしょう。しかし、かつてはセールや価格改定を通して100円前後で販売していた事実もあるので、どうしても割高に感じる節は否めません。
タイでは売れ筋のポン・デ・リングを中心にした商品展開をしたり、フィリピンではがっしりした食事メニューを提供したりと各国でも差別化が図られています。
12月にはポケモンのディグダを模したドーナツがSNS上で話題になったこともあり、日本ではコラボや高級感のある商品展開を中心にしたブランディング戦略などを打ち出していく必要があるように感じました。
関連情報:【ミスタードーナツ】商品価格改定のお知らせ 2025年3月26日(水)より
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