冷凍ほうれん草は、茹でる手間がなくすぐに使える便利な商品です。しかし新鮮な生のほうれん草と比べると、冷凍ほうれん草は栄養面が劣っているのではないか心配にもなります。

そこで本記事では、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」のデータをもとに栄養価の違いを比較し、その結果をまとめました。

記事後半では冷凍ほうれん草の栄養をムダなく摂取する食べ方も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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ほうれん草に含まれる栄養素・旬の時期

ほうれん草イメージ画像(収穫後)
分類 ヒユ科
原産地 ペルシア
(現在のイラン周辺)
収穫量が
最も多い地域
埼玉県
(※令和2年度)
栄養 ビタミンA、ビタミンC、
鉄分、葉酸
旬の時期 冬(11月〜2月)
※通年あり
効果・効能 貧血予防、免疫力のサポート、抗酸化作用による健康維持

ほうれん草は、βカロテン(ビタミンA)や鉄分など、さまざまな栄養素が含まれている緑黄色野菜です。

葉は広がり肉厚で、茎はほんのりと赤みを帯びているのが特徴。水分が葉先から蒸発しやすい性質があるため、鮮度が落ちる前に早めに調理するのがおすすめです。

1年を通して手に入る野菜ですが、霜がおりる冬(11月〜2月)は特に甘味が増し、より美味しく味わえます。

【冷凍vs.生鮮】ほうれん草の栄養価はほぼ同じ⁉

ほうれん草イメージ画像(茹でVS冷凍)

生のほうれん草と冷凍ほうれん草は何が違うのか、「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」のデータをもとに栄養価の違いを比較してみました。

食品成分 生鮮 冷凍
エネルギー 18kcal 22kcal
水分 92.4g 92.2g
たんぱく質 2.2g 2.9g
脂質 0.4g 0.3g
食物繊維 2.8g 3.3g
カリウム 690mg 210mg
カルシウム 69mg 87mg
マグネシウム 49mg 51mg
2.0mg 1.2mg
ビタミンA 0μg 6μg
ビタミンK 270μg 300μg
葉酸 210μg 120μg
ビタミンC 35mg 19mg

冷凍すると栄養価が失われるイメージを抱きがちですが、必ずしもそうとは限りません。

上記表のとおり一部の栄養素は冷凍することで数値が上がっています。それぞれ何が増えて何が減っているのか詳しくみていきましょう。

冷凍ほうれん草は鉄分・ビタミンA・食物繊維が豊富!

ほうれん草イメージ画像(収穫後)

冷凍ほうれん草は生のほうれん草と比べて、タンパク質・食物繊維・カルシウム・マグネシウム・ビタミンA(βカロテン)・ビタミンKが豊富に含まれています。

特にビタミンAは、冷凍すると0μgから6μgに増加。食物繊維やマグネシウムなどの栄養素も、わずかに増加しています。

冷凍ほうれん草は長期保存ができるだけでなく、生のほうれん草よりもビタミン・ミネラルが豊富。骨の健康、免疫力の強化、肌の健康維持に役立ちます。

カリウム・ビタミンC・葉酸は冷凍だと減ってしまう

冷凍ほうれん草は生のほうれん草と比べてカリウム、ビタミンC、葉酸が減少しています。

カリウムは体の水分バランスを保つ役割を果たし、ビタミンCは免疫力の向上や肌の健康維持に重要な栄養素です。

これらの水溶性ビタミン・ミネラルは熱や水に水や熱に対して非常に敏感。生のほうれん草の栄養価を維持しながら調理するには、蒸すなどの工夫が必要です。

多少栄養価が下がっても、手間を考えれば冷凍ほうれん草のほうが使いやすいと感じるかもしれません。

えぐみ(シュウ酸)は冷凍ほうれん草のほうが和らぐ

ほうれん草イメージ画像

ほうれん草特有のえぐみの原因となるシュウ酸は、茹でることで多くが水中に流れ出ます。

冷凍ほうれん草はすでに下茹でされているため、生の状態よりもシュウ酸が少ないのが特徴です。

生のほうれん草でも茹でることでシュウ酸を減らせますが、手軽に利用したいときは冷凍ほうれん草が便利です。

栄養損失はわずか! 冷凍野菜のメリット・デメリット

ほうれん草イメージ画像(冷凍野菜)

【〇】-18℃の急速冷却で栄養・鮮度・色彩をキープ

ほうれん草をはじめとする冷凍野菜は、-18℃以下の急速冷凍で採れたての栄養と鮮度を閉じ込めています。

急速に冷やすことでビタミンやミネラルといった栄養成分の劣化を最小限に抑えられ、鮮やかな風味や食感を保つことが可能です。

さらに保存料や着色料などの添加物を使用せず、素材そのものの自然な味わいを楽しめるのも冷凍野菜の魅力です。

【×】加熱・解凍後は水溶性のビタミンが失われやすい

冷凍野菜は加熱・解凍後に水溶性ビタミンが失われやすいのがデメリットの一つです。特に長時間加熱すると生鮮野菜に比べて栄養価が低下しがち。

栄養損失を防ぐために、凍ったまま使えるものはそのまま調理するのがおすすめ。また茹でる代わりに蒸すことで水分接触を減らし、ビタミンの流出を抑えられます。

ほかにも電子レンジで短時間加熱する方法も、栄養の破壊を抑えつつ効率的に調理できます。

【注意】手作りの冷凍ほうれん草は栄養価が落ちやすい

ほうれん草イメージ画像(手作り)

市販の冷凍ほうれん草は、収穫後すぐに急速冷凍されるため、ビタミンなどの栄養が高い状態でしっかりとキープされています。

一方、自宅で茹でたほうれん草は、茹で時間が長すぎるとビタミンCなどの水溶性栄養素が水に流れ出てしまいます。また、家庭用冷凍庫で保存する場合も冷却力が一定でないため、栄養素を完全に保持するのが難しくなります。

このように、家庭で作った冷凍ほうれん草は市販の冷凍ほうれん草を比べて、栄養価の維持が難しい点に注意が必要です。

冷凍ほうれん草の栄養をムダなく摂取する食べ方

冷凍ほうれん草の栄養をムダなく摂るためには、食材との組み合わせや調理方法が大切です。適切な食べ方を知ることで、毎日の健康維持に役立てることができます。

油で炒めて脂溶性ビタミンの吸収率アップ

ほうれん草イメージ画像(炒める)

ほうれん草にはビタミンA(βカロテン)、ビタミンE、ビタミンKなどの脂溶性ビタミンが豊富に含まれています。

脂溶性ビタミンはその名のとおり、油に溶ける性質があるため一緒に摂ると腸内での吸収率があがります

オリーブオイル(特にエキストラバージンオリーブオイル)はビタミンEや抗酸化物質が豊富で、ほうれん草との相性も抜群。オレイン酸の働きで、腸内環境にも良い影響を与えます。

肉・イモ類と一緒に食べて鉄分の吸収率アップ

ほうれん草イメージ画像(お肉と一緒)

鉄分は、ビタミンCやたんぱく質と一緒に摂ると吸収率が高まります。肉や芋類にはビタミンCやたんぱく質が含まれているため、一緒に食べると効果的です。

また、肉類には吸収されやすいヘム鉄があり、凍ほうれん草に含まれている鉄分(植物性)の吸収も促進します。

凍ったままでOK? 冷凍ほうれん草の解凍方法

ほうれん草イメージ画像(耐熱皿)

冷凍ほうれん草は、凍ったまま使えます。スープや炒め物に直接投入することで、水溶性ビタミンの流出も最小限に抑えられるのが魅力です。

ただし、レンジで解凍する場合は短時間でさっと加熱するのがポイント。過度に加熱すると栄養価が減少してしまうため、調理方法に注意しましょう。

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