冷凍食品ばかりを食べていると健康面でのリスクが心配になりますよね。なんとなく「冷凍食品は体に悪い」というイメージを抱きがちですが、実際はどうなのでしょうか。

今回は、冷凍食品が体に悪いと言われる理由とその根拠を調査しました。添加物や栄養バランスの偏りといった懸念点に触れながら、どのほどのリスクがあるのかを解説します。

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冷凍食品が体に与える影響は? 毎日食べても大丈夫?

冷凍食品のイメージ(パスタ)

【結論】

  • 健康被害に関する情報は見当たらない
  • 冷凍食品による食中毒リスクは低い

冷凍食品が健康に悪影響を与えるという明確なデータは見つかりませんでした

冷凍食品ジャーナリストの山本純子氏によれば『-18℃以下で急速冷凍・保存された冷凍食品は、食中毒のリスクが低い』とのこと(参照元:ハルメク365)。

普段の食事に取り入れること自体は、特に問題はなさそうです。

冷凍食品のイメージ(健康的な食事)

ただし、冷凍食品ばかりを毎日食べ続けるのはおすすめできません。

冷凍食品に問題がなくても偏った食事は健康リスクを高めます。バランスの取れた食事を心がけ、主菜や副菜とを意識してほかの食材も組み合わせましょう。

特に水溶性ビタミンは加熱で失われやすいため、生野菜やフルーツからの摂取がおすすめです。また、タンパク質や食物繊維も副菜や主食で補うように心がけてみてください。

冷凍食品にプラスしてみよう!

  • 生野菜・果物でビタミン補給
  • 納豆や豆腐でタンパク質を補給
  • 玄米や雑穀米に替えて食物繊維アップ

誤解が多い!冷凍食品が体に悪いと言われる理由4つ

冷凍食品のイメージ(パスタ)

「冷凍食品は体に悪い」と言われる理由には、以下の4つがあります。

  • 食品添加物が多い
  • 栄養の偏り・味の濃さ
  • 輸入食品・産地が不明確
  • 残留農薬の心配・不安

これらの点には確かに注意が必要です。しかし、冷凍食品に対するイメージには誤解もいくつか含まれています。さらに詳しく見ていきましょう。

食品添加物が多い

冷凍食品のイメージ(ハンバーグ)

やはり生鮮食品ではないものに対しては、添加物の使用量や安全性が気になりますよね。

冷凍食品においても、調理済みの一部商品には食品添加物(調味料、増粘剤、天然着色料など)が含まれています。

しかし添加物の使用量は食品衛生法に基づき厚生労働省が厳格に定めています。

ADI(許容一日摂取量)に基づいて使用されているため、毎日食べ続けたとしても大きな健康被害が起こるリスクは極めて低いと言えるでしょう。

冷凍食品のイメージ(冷凍室)

さらに冷凍食品は、-18℃以下の冷凍保存により細菌の増殖を抑え、保存料を使わずに食品の品質を保てるというメリットもあります。

他の加工食品と比べると、冷凍保存によって添加物の使用を抑えられるため、冷凍食品の安全性は比較的高いと言えます。

添加物に対する不安が拭えない場合は、下記の添加物例を参考に成分表示を確認しながら冷凍食品を選ぶのがおすすめです。

危険視されている添加物の例

添加物の種類 具体例 主な用途 健康リスク(過剰摂取時)
防腐剤 亜硝酸ナトリウム 保存性の向上 発がん性リスク
保存料 ソルビン酸カリウム カビや細菌の抑制 発がん性リスク
人工着色料 タール色素など 色合いの向上 アレルギー反応
行動過敏性(子供)
甘味料 アスパルテーム、スクラロース 甘みをつける 血糖値への影響
頭痛の可能性
増粘剤 カラギーナン 食感の安定化 消化不良
腸内環境への影響
酸化防止剤 エリソルビン酸ナトリウム 酸化による劣化防止 アレルギー反応
過剰摂取で肝機能への負担
乳化剤 レシチン 食材の分離防止 まれにアレルギー反応
pH調整剤 クエン酸、リン酸ナトリウム 保存性の向上 消化不良
腎機能への負担
発色剤 亜硝酸塩 見た目の向上
(色合い維持)
発がん性リスク
特に高温での調理時
保存性向上剤 ソルビトール 食品の乾燥を防ぐ 消化不良
血糖値への影響

栄養の偏り・味の濃さ

冷凍食品のイメージ(からあげ)

冷凍食品には「栄養が偏る」「味が濃い」など、ネガティブなイメージが根強いですよね。なかには「冷凍する過程で栄養が失われているのでは?」と不安視する声も。

しかし野菜や魚などの冷凍食品は、収穫や水揚げ後すぐに急速冷凍されることで多くの栄養素がしっかり保たれています。多少の変動はあるものの、冷凍する過程ですべての栄養素が失われているわけではありません

また調理済みの冷凍食品も、低糖質・減塩・無添加など栄養バランスに配慮した商品が続々と増えています。選び方を工夫すれば、冷凍食品でもバランスの取れた食事を楽しむことが可能です。

輸入食品・産地が不明確

冷凍食品のイメージ(ミックスベジタブル)

輸入食品の産地が不明確・信頼できないといった点も、冷凍食品に対する大きな不安要素のひとつです。

特に2008年の中国産冷凍餃子事件では農薬の混入が大きな問題となり、多くの人が冷凍食品への不安を抱きました。

現在の日本では厳格な安全基準のもと、輸入食品の安全を3段階で確保しています。輸出国での対策、輸入時の検査、そして国内での監視です(※参照元:厚生労働省)。

お店で売られている輸入食品は各ステップで厳しい基準をクリアしているため、過度に不安を感じる必要はないと言えるでしょう。

残留農薬の心配・不安

2024年にチリ産ブルーベリーから残留農薬が見つかりましたが、市場に流通する前に回収されています。

日本冷凍食品協会や各食品メーカーに関しても、定期的に自主検査をおこない、問題があればすぐ対応できる体制を整えているため、基準を超える農薬が出回ることは滅多にありません

農薬が気になる場合は、厳しい基準をクリアした有機JASマーク付きの冷凍食品を選ぶと安心です。

イオントップバリュ(オーガニック洋風野菜ミックス)

▲イオントップバリュ(オーガニック洋風野菜ミックス)

量とバランスが大事! 冷凍食品を使うメリット

冷凍食品のイメージ(メリットをまとめたもの)

冷凍食品におけるリスクと安全性を理解したうえで、改めて以下3つのメリットを紹介します。

冷凍食品を使うメリット

  • 生鮮食品より栄養価をキープできる
  • 保存料不使用の商品が多い
  • 時短になるメイン料理が豊富

生鮮食品よりも栄養価が下がりにくい

収穫直後に急速冷凍される冷凍食品は、劣化しにくく栄養価の減少も生鮮食品と比べて緩やかです。なかには冷凍することで栄養価が増えるケースもあります。

日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに、ほうれん草の「茹で」と「冷凍」を比較すると、その違いと変化がよくわかります。

ほうれん草に含まれるビタミンC(水溶性ビタミン)は冷凍前に比べて減少しているものの、鉄分や脂溶性ビタミンなど一部の栄養価は上昇しています。

食品成分 茹で 冷凍
エネルギー 23kcal 26kcal
水分 91.5g 90.6g
たんぱく質 2.6g 3.7g
脂質 0.5g 0.5g
炭水化物 4g 3.8g
カリウム 490mg 90mg
マグネシウム 40mg 55mg
0.9mg 1.3mg
αーカロテン 0μg 9μg
ビタミンK 320μg 480μg
葉酸 110μg 57μg
ビタミンC 19mg 5mg

生鮮食品は収穫から店頭に並ぶまでの流通過程で栄養価が徐々に失われていきますが、冷凍食品なら栄養価の高い食材を手軽に摂取できるメリットがあります。

保存料が不要・ほとんど使われていない

冷凍食品は、-18℃以下で急速冷凍することで微生物の活動を停止させるため、保存料なしでも安全に保つことが可能です。細菌やカビの繁殖を抑え、食材の劣化を防ぎます。

常温保存の食品では保存期間を延ばすためにパラベンやソルビン酸といった保存料が使われますが、冷凍食品には基本的に必要ありません。

ただし、冷凍ピザやミートボールなど一部の加工冷凍食品には、解凍後も長時間保存できるよう保存料が添加されてる場合があるので注意しましょう。

時短調理で食卓のメインになる商品が多い

冷凍食品のイメージ(中華)

冷凍食品といえば「お弁当のおかず」としてのイメージが強くありましたが、2000年以降、その印象は大きく変わりました。

冷凍チャーハンやからあげ、ハンバーグ、餃子、シューマイといったメイン料理が続々と登場し、食卓の主役にもなりうる存在に進化しています。

冷凍食品をうまく取り入れることで時間と手間をかけずに、栄養も味も満足のいく食事を用意することが可能です。忙しいときは無理せず、便利な冷凍食品を活用していきましょう!

冷凍食品の選び方・購入時に押さえておきたいポイント

冷凍食品のイメージ(選んでいる女性)

冷凍食品への不安を取り除くには、選び方と食卓全体のバランスを意識することが大切です。添加物や栄養の偏りが心配されますが、すべてが体に悪いわけではありません。

原材料がシンプルなもの、無添加・オーガニック、信頼できるメーカーを基準に、自分が納得できるものを選びましょう。

冷凍食品を選ぶときの目安

  • 原材料がシンプルな野菜や麺類
  • 無添加・オーガニックの表示がある
  • 信頼できる大手食品メーカーの商品

さらに野菜やたんぱく質を意識した料理と組み合わせれば、栄養バランスも取りやすくなります。便利さを活かしながら、冷凍食品を賢く取り入れてみてください。

原材料がシンプルな冷凍野菜・麺類などを選ぶ

冷凍食品のイメージ(野菜)

冷凍食品を選ぶなら、余計な調味料や添加物のないシンプルな商品がおすすめです。

たとえば、素材をそのままを急速冷凍した冷凍野菜・フルーツ・うどんなどは、保存料や着色料を気にせずに安心して使えます。

冷凍食品イメージ画像(原材料名の表示部分)

ただ、味付けやアレンジの手間があるため、温めてすぐ食べたい人からすると使いにくさがあります。

下ごしらえの手間を減らし、生鮮食品と変わらない感覚で食材を無駄なく消費したいときに便利です。

無添加・オーガニックの表示を基準に選ぶ

冷凍食品のイメージ(無添加)

健康に配慮した冷凍食品を見つけたいときは、「無添加」や「オーガニック」の表示を目印に選ぶのがおすすめです。

無添加は余計な化学物質が含まれておらず、食材の自然なおいしさを味わえます。オーガニック食品は農薬や化学肥料の使用が制限されているため、よりクリーンな選択が可能です。

ただし、価格が高めであることや選べる商品の種類が限られるというデメリットがあります。保存料が少ないぶん品質を保つ期間が短くなるため、早めに使い切ることも大切です。

信頼性のある大手冷凍食品メーカーを選ぶ

冷凍食品のイメージ(餃子)

冷凍食品の安全性と品質で選ぶなら、「ニチレイ」や「味の素冷凍食品」などの大手冷凍食品メーカーを基準に選ぶのもおすすめです。

これらのメーカーは、原材料の産地確認から製造工程まで厳しい基準で管理しており、品質と衛生面での安心感があります。公式サイトでも詳しい情報が確認でき、安全への取り組みが見える化されているのもポイント。

ただ、味付けに関しては万人受けのものが多くバリエーションが少ないため、独特の風味や個性を求める人には物足りなく感じるかもしれません。

これだけは覚えておこう! 冷凍食品を使うときの注意点

冷凍食品をおいしく安全に食べきるために覚えておきたいポイントを3つ紹介します。

  • 解凍後の再冷凍は避ける
  • 開封後は空気を抜いて密閉保存
  • 目安期限より早めに使い切る

冷凍食品は便利ですが、扱い方を間違えるとおいしさを損ねることがあります。「冷凍だから大丈夫」と油断せず、適切に保存して使い切りましょう。

一度解凍したものは再冷凍せず使い切る

冷凍食品のイメージ(冷凍焼けしたからあげ)

一度解凍した冷凍食品の再冷凍はおすすめできません。再冷凍すると品質が劣化し、味や食感が悪くなります。

また、10℃〜60℃の「危険温度帯」は細菌が増えやすいため、外気温で解凍された冷凍食品は食べずに処分するのが安全です。

特に肉類や魚介類は細菌の栄養分となるタンパク質が豊富です。食中毒のリスクを下げるためにも、適切な温度で保存・解凍し、再冷凍を避けて早めに使い切りましょう。

開封後は乾燥しないように空気を抜いて保存する

冷凍食品のイメージ(保存)

一度開封した冷凍食品は、乾燥を防ぐために冷凍用ジッパーや保存用クリップを使って保存しましょう。

包装が破れている、または封が開いた状態で保存すると品質が劣化する原因となります。乾燥によって変色や冷凍焼けが発生するため、空気をしっかり抜いて密閉することが大切です。

賞味期限前でも出来るだけ早く食べきる

冷凍食品のイメージ(賞味期限の表示)

冷凍食品の賞味期限は「-18℃以下での保存」が前提です。-18℃以下の温度で保存すれば細菌の活動が停止し、食品の品質も安定します。

しかし、家庭用冷凍庫は開け閉めによる温度変動が多く、品質が劣化する恐れがあります。未開封でも賞味期限ギリギリまで待たず、できるだけ早めに使い切りましょう。

特に開封後は品質の劣化スピードが速まるため、1か月以内を目安に消費するのがおすすめです。

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