心身の健康に直接かかわる毎日の食事。自炊をする上で気になるのが、やはり日々の食事の栄養バランスです。

本記事では、バランスの良い食生活や健康的な食事作りに役立つ工夫をご紹介します。

著者
庭乃 桃( 料理・食文化研究家、女子栄養大学 食生活指導士)

東京大学大学院修了。料理家として「おいしい」をとりまくさまざまな食文化や食卓の風景に目を向けながら、企業向けレシピの開発、食関連の執筆、講演など多方面で活動中。

【レシピ開発(敬称略・順不同)】
欧州連合(EU)、日本私立学校振興・共済事業団、株式会社カーブスジャパン、岩谷産業株式会社、カリフォルニアくるみ協会、全国かまぼこ連合会(現・一般社団法人 日本かまぼこ協会) ほか。

【コラム執筆(敬称略・順不同)】
カリフォルニアくるみ協会、ホットペッパーグルメ 食を楽しみたい人のグルメ情報マガジン『メシ通』、レシピサイトNadia、食ZENラボほか。

【著書】
『おいしく世界史』(柏書房)

【テレビ出演】
NHK「ひるまえほっと」

公式サイト
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「バランスの良い食生活」「健康的な食事」とは

毎日の食生活を豊かで健康的に送るためには、毎食ごとの栄養バランスに加えて、食事の量や時間、調理や食事をする時の気分など、さまざまなことが関わってきます。

以下ではそれらを踏まえながら、自炊をする上でまず押さえておくべきポイントと、楽しみながら続けていくためのコツについてみていきます。

今回はまず「入門編」ということで、意識すべき栄養素と、献立の考え方を中心にご紹介します。

必要な栄養素

まずは、自分が一日に「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを大まかに知っておきましょう。

厚生労働省と農林水産省が共同で作成した「食事バランスガイド」を見ると、主食、副菜、主菜のバランスをひと目でイメージすることができます。

農林水産省「食事バランスガイド」

出典: 農林水産省「食事バランスガイド」

主食、副菜、主菜を意識する

ごはん、パン、麺類など、炭水化物の供給源となる「主食」は、体を動かす熱や力になるものです。続く「副菜」には、野菜や海藻類を中心とした体の調子を整える働きをする食材が並びます。

そして3番目の「主菜(メインおかず)」には、肉や魚、卵、大豆といった、体内で血や肉となるたんぱく質を含む食材が多く使われていることがわかります。

毎日の食事は、概ねこれらの栄養素がバランス良く含まれていることが理想です。

つまり、ごはんだけ、肉だけ、野菜だけといった食べ方よりも、基本的には主食のごはん、メインの肉、添え物の野菜といった、主食、副菜、主菜のそろった食事の方がバランスが良いと言えるのです。

3色食品群を意識する

また食品はそれぞれにさまざまな栄養素を含んでいるため、その働きに応じて大きく3つの色に分けて考えることができます。

◉赤: たんぱく質を多く含む食品 ⇒ 体をつくる
◉黄: 脂質や炭水化物を多く含む食品 ⇒ エネルギーになる
◉緑: 野菜、果物など ⇒ 体の調子を整える

油脂をたっぷり使った揚げ物やスイーツ、あるいはうどんにおにぎりをプラスする「主食の重ね食べ」など、現代の日本人の食生活においては、脂質や炭水化物(黄色)を摂り過ぎる傾向が多く見られます。

これらは体のエネルギー源となる重要な栄養素で、お腹にも溜まりやすく手軽に口にできますが、やはり摂りすぎるのは良くありません。

一方で、体に良いからと野菜ばかりを食べたり、ダイエットを意識して食事量を極端に減らしたりすると、今度は体をつくる上で重要な働きをするたんぱく質、そして炭水化物も不足します。

うどんには肉や野菜などの具材を添える、パスタにはケーキではなくサラダを合わせるなど、どれか1つの色に偏らないような組み合わせを意識することが大切です。

献立の考え方

バランスの良い食事の基本となるのは、やはり主食、副菜、主菜です。しかし現実には、それを毎日続けていくのはなかなか大変なもの。

栄養バランスを意識しつつ、自炊を無理なく続けていくにはどうしたらよいでしょうか。

ポイントは「形にこだわらない」こと

消費者庁「栄養成分表示を活用しよう③ 食事の質を見直す」

出典: 消費者庁「栄養成分表示を活用しよう③ 食事の質を見直す」

毎日の食事は、何もきちんと主食、副菜、主菜を分けねばならないわけではありません。

要は、できるだけ赤・黄・緑の3色を含む献立にすれば良いのです。自炊を無理なく続けるコツは、実はここにあります。

たとえば、ごはんに冷蔵庫の残り食材を加えた具だくさんな味噌汁を添える、ミートソースパスタにサラダやフルーツを添える、丼に盛ったご飯にメインおかずと野菜をのせて一緒に食べる、そんな献立なら一食で3つの色の食品を摂ることができます。

調理方法 (炒める、焼く、煮る、蒸す)を意識する

厚生労働省「食事バランスガイド(実践・応用編)」

出典:厚生労働省「食事バランスガイド(実践・応用編)」

油脂は調理にも使われるため、さまざまな調理法を試すことも栄養バランスのコントロールにつながります。

自炊の際には炒めたり揚げたりするばかりでなく、グリルやトースターで焼いたり、蒸したり煮たりと、オイルを使わずに作れる献立にするのもおすすめです。

特に電子レンジでの調理は、手軽なだけでなく、食材の旨味や栄養素の流出も防ぐことができます。

野菜の色に注目する

ビタミンやミネラル、食物繊維を多く含む野菜は、生活習慣病を予防する上でも欠かすことのできない食材です。

それぞれに特徴がありますが、栄養価を考えて使うならば、やはりホウレン草やニンジン、ブロッコリー、カボチャなどの緑黄色野菜を特に積極的にとり入れるようにしましょう。

時には楽をして心身を休めよう

宅配弁当

自炊を長続きさせるコツ

健康的な食生活を送るためには、毎日の食事作りの負担があまりに大きいのも考えもの。自炊に疲れてしまったり、食事を楽しめなくなってしまった時には思い切って休みをとることも必要です。

一食ごとの栄養バランスを細かく気にしすぎるよりは、3日単位、1週間単位と長い目で食事の内容を見直すように心がけ、できるだけ楽しみながら取り組めるように工夫してみましょう。

市販品の活用

たとえば市販のカット野菜や冷凍野菜、サラダチキン、缶詰などを適宜とり入れるようにすれば、調理工程そのものをグンと楽にすることができます。

不足しがちなたんぱく質や野菜を補うこともできるので、上手に使っていきましょう。

宅配弁当のすすめ

カロリーや塩分など、細かな情報がしっかりと記載されている宅配弁当は、栄養バランスをコントロールしやすいすぐれもの。

栄養バランスに配慮されたものも多く、それぞれの目的に合わせた形で栄養をしっかりとりながら一食完全に食事作りを休むことができます。

また、自分とは違う味付けやメニューを知ることで気分転換にもなり、自炊のモチベーションも上がります。

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